もともとはニューヨークで広告のデザインをしていたソール・バスは、1940年代からロサンゼルスに拠点を移した。そして、1954年公開の映画『カルメン』のポスターのデザインの出来に驚いたプロデユーサーから「どうせなら動かしてくれ!」と言われて、以後、〝動くタイトル・クレジット〟をデザインすることになった。彼は「プロローグ・デザイン」と言っていたようだが。
ソール・バスは、不要なものを削ぎ落としたシンプルな独自のスタイルで、映画ポスターを数段レベルアップさせ、それまでの単調で面白味のないタイトル・クレジットをドブに捨てさせた。 それまでは、いわゆる〝ポップコーン・タイム〟と言われ、タイトル・クレジットの間は幕を閉めたままの映画館がほとんどだった。しかしソール・バスは、これらのグラフィックに命を吹き込み、他のものと同様に〝映画を観る〟という体験の一部としてしまった。彼のアイコンともなる「キネティック・タイポグラフィ」を導入し、その〝語る〟文字はスクリーン上で大きく躍動し、しばしば他のビジュアルと組み合わせて表現される。ソール・バスのデザインしたタイトル・クレジットが使われた映画は、「映写技師へ:タイトルの前に幕を開けること」という注意書きとともに送られた革命であった。
ソール・バスと一緒に仕事をした私の先輩が、ソール・バス自身から受け取った言葉が、
「シンプルにすればもっと意味は深くなる」
であった。正しくこれらのデザインと重なって来る。
次の神のような言葉もある。
Design is thinking made visual.
(デザインとは考えを見えるようにする事だ。Orデザインとは視覚化された思想だ。)
──シンプルなので深くて堪らん。
◉ ソール・バスはCIロゴの名手でもあります。上記したことがここでも裏打ちをしているのだと思います。
ソール・バス。
この100年近くの間で、最も成功したデザイナーだと思う。
アメリカでは:「ベル」「クリネックス」「AT&T]など多数。
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