New Year's Eve

アメリカで暮らしているとさまざまなことでタイミングがマヌケになったり、ポイントがズレたりする。ま、異文化の中にいるので当たり前のことなのだが。

精霊の国アイルランドが発祥の「ハロウイーン」も終わり、11月末に「感謝祭」が来る。このThanksgiving Dayは正真正銘のMade in USA。
厳寒の12月にボストン郊外のプリマスに息絶え絶えで辿り着いた清教徒たちを哀れんだインディアンたちは、彼らが貯蔵してあったトウモロコシ、ジャガイモ、そしてターキーなどなどを供した。そのことを多として始まったとされている。

Thanksgivingと言うくらいなので、〝人に施す〝ことがコンセプトの日のようだ。同時に、この広い国土に散り散りで暮らしている家族が〝是が非でも〝集まる日でもある。だから、一人ぽっちでいる人には、「どう?ターキー食べにウチへ来ない?」と誘う麗しい風習もある。

兎にも角にも、この「感謝祭」から「クリスマス」の間というのは、アメリカ人が総じて浮足立つ。「お休みモード」。オフイスももガラガラで閑古鳥だけがカア〜カア〜鳴いている。こちらは「感謝祭」にも「クリスマス」コミットメントが薄い。うすぼんやりとして乗り切れないままクリスマスは終わる。彼らは25日から平常運転に戻り31日まで働く。

3時間ほど先に始まっちゃっているNYタイムズスクアのカウントダウンと“無差別キス”をTVでロスアンゼルスから眺めながら、“来し方行く先”に想いを馳せようにも、環境というか舞台が整わない。
日本人にとっての「大晦日」とアメリカ人にとってのNew Year's Eveは相当の乖離がある。

この国ではクリスマスが終わると、惰性で新年になる。
1月1日。新年になるとTVはどこのチャンネルもアメリカン・フットボールだ。とりわけ、LA近郊のパサディナの「ローズ・ボウル」のカレッジフットボールの決勝戦で大盛り上がりになる。ルールさえ覚束ない当方とすれば、「わあ〜キレイ」か「わあ〜かわいい」くらいの感想しかない。

翌日の1月2日。アメリカ人たちは昨日の大興奮をすっかり拭い捨て、なに食わぬ顔でオフイスに向かう。日本人にとって「大晦日」から「元旦」にかけての20時間内外って結構貴重なものだと思う。そのお花畑を無残にイノシシにでも踏み荒らされた感じで、「何だかな〜」としょんぼりとする新年なワケです。

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