【いい話】
年若の友人から話。その彼がまだ25歳前だったと思う。
幼い頃からずっと祖父ちゃんと仲良しだった。
祖父ちゃんは現役の頃はジャーナリストであった。リタイア後も若い人たちと一緒にボランティアでアフリカの子供の援助やケアに出かけていくような行動派だったらしい。
その彼も最近随分と弱ってきたなあと感じてはいたが、孫であるその友人は現役バリバリな若者。酒、女などなどと多忙を極めていた。
……と、祖父ちゃんは逝ってしまった。“もっと話をしておけばよかった”と忸怩たる想い悶々。
通夜も、告別式も滞りなく終えて、家に戻ってやっと落ち着いた頃。祖母ちゃんが仏壇を整理していて、祖父ちゃんが密かに記して置いてあったものを見つけた。
ま、ラブレターかな……。
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若い頃には随分と法螺を吹き
大言壮語をしていたが
結局本物の社長にも
有名人にも 金持ちにも 何にもなれなかった。
その代わり
素晴らしいあなたという妻を得て
この世で一番
幸せな人生を送ることができました
長い間苦労をさせて御免なさい
本当にありがとう
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祖母ちゃんは当然むせび泣いている。
息子(友人の父)は「…ったく、最後までカッコつけやがって!」と言いながらも半泣き。
孫の友人はとめどもない滂沱の涙。
祖父ちゃんはあの世から「想定通り」などとドヤ顔で嘯いているんだろうな……
と思いながらも涙が止まらなかった。
その後も折にふれ涙が滲んでくると言っていた。
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