貧乏で虚弱でブ男だった

「わたしは金がなかったし、虚弱だったし、顔立ちがかわいらしいわけでもなかったし、人気もなかった。慢性的に咳がでたし、臆病者だったし、くさかった。……成功者などに、とうていなれそうにもない、といった確信がわたしの心にしたたかにしみこんだため、おとなになってからずっと後までも、わたしの行動はその影響を受けたくらいだ。三十歳になるまでは、わたしはどんな大事業を思い立っても、それはきっと失敗に終わる、という仮定、いやそれどころか、私の寿命はあと2,3年しかもたないだろう、という見通しのもとに、いつも自分の生活設計を考えていたのだった」

 ジョージ・オーウェル:『喜びはいかばかり』 

※8歳の時、上流階級の子弟を収容する寄宿制の私立予備校セント・シプリアン校へ入れられて……。
だからこそ、彼は全体主義的ディストピアの『1984』を描くことができたんだなんて、ワケ知り顔で安易に言わないでくれ。
こういう鬱屈を持たなくて過ごしたのは、ほんの一握りだと思う。



 

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砕け散ったプライドを拾い集めて

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