五千円札

【こんな話】

約束の時間にはちょっと間が空いたので、カフェでカプチーノを戴く。
支払いで財布から5,000円札を引き抜いてレジの女の子へ。
その子、その5、000円札をじっと見詰めて、それから私の顔を見る。それを交互に3、4度行ってから、「ちょっとお待ちください」とその場を離れて裏手に回る。

“はい?どうしたの?……”と小心な私は心細くレジの前でポツンと佇む。
彼女は通りかかった支配人を捕まえて二言三言。また急ぎ足で戻ってきて、

「お待たせしました」
「あ、これひょっとして古い札なの?」
「そのようです。今のものは女の人ですから」

そう言えば、家人が古い札がたくさん見つかったのような話をしていたっけ……。
そのうちの一枚が私の財布まで迷い込んできたみたいだ。

ま、とにかく……
お札の数字とそれらしい体裁であれば、気にしないよね。
みんなはお札の絵柄とか人物に気をつけて生きているの?

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砕け散ったプライドを拾い集めて

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