「ホカヘイ」 Ho Ka Hey2022.10.26 07:44 マンハッタンのイースト・ヴィレッジのホームレスが、 「今日は死ぬのにもってこいの日だ」 Today is a good day to die. というプラカードを掲げて、道ゆく人々を落ち着かなくさせたという〝都市伝説〟...
アイデンティティ2022.10.17 11:36これを日本語では「自己同一性」と呼ぶ。つまりは「自分は何者か?」ということだ。 要するにIDカードの「ID」。 この「アイデンティティ」というコンセプトはアメリカの心理学者エリック・エリクソン(1902~1994)が、その生涯を通して自らの「アイデンティティ」に悩んだことによって...
暗愁2022.06.08 01:50「暗愁」という言葉がある。“得体の知れない悲しみ”を表現するらしい。平安時代の知識層・文人墨客の間で盛んに使われていたと言われていて、近代に入っても、森鴎外や夏目漱石などが小説の中で使っていた。それが現代ではすっかり「死語」になってしまっている。その種の感情が日本には昔はあって今...
バカロレア2021.03.03 00:44(パンテオン・ソルボンヌ大学)友人たちと話していて時折話題になるのは、〝日本人には「哲学」がないのではないか?〟ということである。 そんなとき、フランスへ目を転じてみると……。 ここでは高校3年の時点で「哲学」が必修科目になる。文科系の生徒は週8時間、経済社会学系は週4時間、理科...
時間2020.01.18 11:50【ショート・エッセイ】木々の葉が紅く黄色く変化している木立のなかを歩いていた。友が「あの紅葉の色って滅びて死んでいくときの色なんだよね……」と、こちらへ聞かすわけでもなく、自分に聞かすかのように呟いていたっけ。いよいよ、その林の中の道を行き交う人も途絶え、自分の足音だけが反響する...
蓮根は穴のところが旨い 2020.01.01 07:10【wording】昨年の暮れからこの言葉に悩まされている。阿川弘之が「読売文学賞」を受賞した『食味風々録』のなかで、内田百聞が「蓮根は穴のところが旨い」と言っていると。……このことは百聞の押しかけ弟子であった中村武志の『掘立て小屋の百閒先生』の中に収録されているとのことだ。それを...
われわれは、明日の過去2019.10.06 11:07「われわれは、明日の過去である」 †:We are tomorrow's past. (メアリー・ウェッブ) ▶イギリスの小説家。 明日の自分を作るのは、今日の自分なのだということを匕首を喉元に突きつけて迫ってくる。分かってますがな、「明日...
置かれた場所で咲かなくていい2019.04.23 01:52「置かれた場所で咲きなさい」って渡辺和子(ノートルダム清心学園理事長)というシスターが言っている。同名の本も出版されている。悪いけど、この言葉が虫酸が走るくらいに大嫌いだ。キリスト教の教義について全く知らないが、その教義にも反しているんじゃない?ローマ帝国へ戦闘的に押し込んでいっ...
散る桜残る桜も散る桜2019.04.14 11:30子どもらと遊ぶのが好きだった良寛和尚。その彼の辞世の句だと伝えられるが、よくわからない。「禅語」であったのだと思う。 桜は咲いた瞬間から、やがて散りゆく運命を背負っている。 今まさに命が燃え尽きようとしている時、たとえ命が長らえたところで、それもまた散りゆく命に変わりはないではな...
ジャメブ2019.04.08 12:17【こんな話】「デジャブ」(既視感)というのは幾度か経験している。“あっ、これからこうなって次にはそうなるんだよね”と作用と反作用の道筋がきれいに見えることさえある。今まで経験したことがない筈なのに……。だからといって、それでなにかアドバンテージを獲得しているワケでもない。「スプー...
アメリカはたんに空間があるだけだ2019.01.23 12:39【wording】「ヨーロッパは時間の積み重ねの上に築かれているが、アメリカはたんに空間があるだけだ。」「 アメリカでは空間が時間の代わりをしている。」 (ベルナール・ファイ:仏社会学者『アメリカ文明論』) ヘミングウエイの...