〝愛されていないかも〟の植物たち

「蓼食う虫も好き好き」の蓼ってなんだとずっと思っていた頃があった。音の響きも漢字にもさっぱり馴染みがない。その割に文脈の中でよく使われる。       (最近は聴かないかも……)

(①イヌタデ)

(②ミズヒキ)

(③ママコノシリヌグイ)

我が家の庭で秋になると赤い実をつけて、見栄えもそれほど悪くないヤツがどうやら「イヌタデ」(写真①)のようだ。家人は幼い頃の呼び名で「赤まんま(飯)」(「おままごと」でお赤飯に使っていたという。)と呼ぶ。
それをほっそりとさせたような「ミズヒキ」(写真②)も〝小さい小さい秋〟見つけたという気分にしてくれてなかなか風流。これも蓼の類だ。
ちょっと前から人気の「ワイヤープランツ」……極細の針金細工のようでなんだか頼りないヤツ……これも同じタデ科というじゃないか。

「イヌタデ」は この実を石の上ですり潰して、それを小川などに投げ入れると、魚が浮いてきて……のような漁法を昔の子供は遊びの一つとしてやっていたらしい。何らかの麻酔させる毒性を持っているらしい。
ネパールではこの〝魚毒〟猟法を現在でも普通にやっているという。日本の縄文時代にも普通にやっていたのだと思う。

ソバ、ダッタンソバ……これらのソバ類もタデ科だという。ソバ類は米が取れない痩せた土地や山間部でも収穫できるので、飢饉対策とか補助穀類として貴重だったのだと思う。それゆえ、〝貧乏人の食い物〟の見方がまだ残っている気配はある。

 さらに、タデ科の仲間で「ママコノシリヌグイ」(写真③)というのがある。〝コンペイ糖花〟と別名を持つくらい、こんなに可憐な花が咲くのだが、葉と茎にはトゲトゲだらけ。昔は用を足した後、葉っぱで尻拭いをした。継子が憎い継母はこの葉っぱでシリヌグイをさせた。ドメスティック・バイオレンスだ。
それにしても 酷いネーミングである。昔はこのような「侮蔑語」が大手を振って歩いていたよね。

(④ヘクソカズラ)

(⑤オオイヌノフグリの実)

(⑥オオイヌノフグリの花……花はこんなに可憐なのに、陰嚢が……)



同様の被害者たち……。

「へクソカズラ」(写真④)……このキレイな花が悪臭…ウンチの臭いがするらしい。
「クソニンジン」……葉を揉むと強い臭いがする。昔の子供の遊び。

「オオイヌノフグリ」(写真⑤)……漢字で書けば、「大犬陰嚢」。花はネモフィラによく似た青い可憐なものだが、果実がソレに似ている。なるほど。
「ハキダメギク」……葉っぱは大きいのに、花は米粒くらいで地味なヤツ。人間に愛されることもなく、塀のキワとかハキダメあたりに雑草として生きている。もともとは由緒正しきアメリカ原産の帰化植物らしい。

 〝可哀想な植物たち〟って直線的に思うのもどうか?ネーミングのおかしみと相俟って、少なくても覚えられている。〝名もなき雑草〟よりは数等上だ。

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