フンコロガシ

【ショート・エッセイ】

「フンコロガシ」という甲虫がいます。馬や牛などの獣糞を丸めて転がして自分のテレトリーまで運び、そこへ卵を産みつけて、孵化した幼虫も成虫もその糞を食べて成長するという悲惨なものです。日本にもやや似たものがいて、それらはニベもなく「糞虫」と呼んでいます。

古代エジプトではこの「フンコロガシ(スカラベ)」が「太陽神ケプリ」の化身だとして崇められていたというのですから、カルチャー・ショックもいいところです。仰け反りました。
つまり、「糞玉を転がすのが太陽の運行を象徴している」とか「糞玉のなかから幼虫が孵るのは死から生が蘇るってことだ」などと、まあ理屈はよくも考えつくものですね、古代のエジプシャン!

そして、男性の下半身に不気味に頭だけフンコロガシのものが「ケプリ神」の像になります。
このシュールさってなに?
日本人はときどき「イワシの頭」を信心するが、エジプト人は「フンコロガシ」を信心する。

あのBeatlesのネーミングはこの「フンコロガシ」から由来しているって聞いて、再度仰け反りました。世の中油断はできね〜なって。   

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