【wording】
「私の排泄物が私より遠くへ旅をする新幹線」
(奥村知世)
穂村弘が誰かとの対談のなかで紹介していた短歌なのだが、いろいろ組み合わさった不思議な衝撃があった。この奥村知世っていう女性が何歳くらいの人なのか知らないが、まだ若い人だとは思う。
いわゆる「感動」とか「喜怒哀楽」の範疇ではない。でも、「共感」がここにはある。多分、「驚異」や「発見」それとも「ワンダー」もある。
東京から京都に向かい、途中名古屋でトイレに行って、目的の京都で降りる。それなのに、自分の「排泄物」は博多まで時速270キロですっ飛んでいく。
「時速270キロの私のうんこよ……」
……“言われてみると確かにそうだよね”という腑に落ちる感じはある。
今までも、ボンヤリとしてよく見えなかった事柄か、全く気づいていない事象をしゅっ!と見事に描写されて、マナジリが裂けそうになった言葉がいくつかある。その事象の描写するため専用のような言葉。
ーーー「いつも思うんだけど、産婦人科の待合室って残酷だよな。だって妊婦さんと不妊治療を受けている患者さんと中絶する患者さんが一緒に同じところにいるんだぜ。最悪だよ」(twitter)
ーーー「たまに”使うたくさんのものを持って暮らしている」
(いしわたり淳治:『うれしい悲鳴をあげてくれ』)
ーーー「心でっかち」(山岸俊男)
ーーー「俺もこの年になってようやく、善人の考えることがわかってきた」( ノーマン・メイラー )
この「時速270キロのうんこ」もその種のファイルに入る。
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