焚き火


「太古の昔、男たちは狩りから戻ってくると焚き火を眺めていた。現代はそれがTVに変わった」

▶︎出典は1998年に世界的ベストセラーになった『話を聞かない男、地図が読めない女』。

結婚して以来、夫が帰宅しての夜はひたすら〝ぼ〜っとTVを見てばかり〟。奥さんは自分との会話もしない夫に内心面白くはないし穏やかでもない。そんなときに、この言葉をたまたま見かけて、それからは夫をそっとしておいたという。

理由はよく分からないが、とりわけ男は火が好きだ。
キャンプ・ファイヤーや暖炉の前でせっせと火の面倒をみているも、それをぼ〜っと見ているのも、大概は男に決まっている。
キャンプファイアーの経験がある人には分かると思うが、車座になっていても、とりわけ会話の必要はない。揺らめきながら、赤黒い色から白色に千変万花する焔をみんながぼ〜っと無口で見ている。

ライアル・ワトソンの『風の博物史』だった思うが、「ホモサピエンスがまだ洞窟で暮らしていた頃の焚き火の跡が見つかっている。炊事に使ったのか?暖房に使っていたのか?どうも両方とも違うらしい。彼らは火に惹かれて、ペットとして洞窟へ持ち込みそれを飼育していたのだ」と言っている。
 “それを見たんかい?“ってツッコミを入れたいが、とにかく人類の素晴らしさを窺わせてすごく好きな話でもある。

 誰かが言っていたけど、そのように「洞窟で焚火」というのを50万年も続けたので、〝焔への愛〟はDNAにまで染み込んでいるのだという。         とりわけ男には……。多分、女は炊事やら火事でその余裕はなかったので、それへの愛は薄いのかな? 


それが現代ではTVをぼ〜つと見るということにに変わられているというのだ。
だが、2020年の現在では地上波テレビからケーブルテレビへ。最近ではさらにNETFLIX、Hulu、AmazonプライムビデオなどのVOD(ビデオ・オン・デマンド)に変わってはきている。
だとしても、これらを放心してぼ〜っと観るのが正しい立ち居振る舞いなのだ。  

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