第三言語

 

アメリカをなんとか理解しようと思ったときの私の〝コンパス〟のようなものが、次の3つです。

 ① 「合州国の広大なひろがり、つまり複雑で多様な景観だの、南部山岳の窪地から不毛のニューイングランド岬、平原の人里はなれた小屋といった多様な場所に多様に存在するさまざまな民族習慣を見渡してみると、アメリカ人を一般化して論じることは、ほとんど不可能に思える」
(マーガレット・ミード:『国民性の研究』)

 ② 「ヨーロッパは時間の積み重ねの上に築かれているが、アメリカはたんに空間があるだけだ。アメリカでは空間が時間の代わりをしている」
 (ベルナール・ファイ:仏社会学者)

③(上記①②に色濃く連動して……)「アメリカ人の知性の著しい特徴は辺境(フロンティア)のお陰である。抜け目のなさや詮索好きと結びついた粗野な性質と力強さ、便法を素早く見つけるあの実際的で創意に富む心の傾向、偉大な目的を達成するために芸術性はないが力強く実質的な物事を巧みに把握する能力、あの休むことを知らぬ逞しい精神力、善と悪との両面に働きかけるあの優勢な個人主義、それと同時に自由から来るあの陽気さと持ち溢れる活気―これらは辺境が持つ特質である」
 (フレデリック・ターナー: 『アメリカ史における辺境』)

それらのこと事々をこの『アメリカについてあまり知られてないことを描く41の地図』が相当に微に入り細を窺って表現しているのに舌を巻いた。

 https://www.boredpanda.com/amazing-usa-maps-facts/?fbclid=IwAR33B5IfFUVizxGHOVCncHX4IQ2q_doUio2CuvKJ2Vz4VKN9R6E7rid70o8&utm_source=facebook&utm_medium=social&utm_campaign=organic
 特に#2の英語・スペイン語の次の「第三言語」の州別表示はとりわけ面白かった。「人種の坩堝」というよりは「人種のミックスサラダ・ボウル」感を雄弁に語っている。

日本では方言があるとしても、ほとんど「日本語」のみで事は足りる。だが、世界の国のなかには多言語な国が結構ある。

──ベルギー:フラマン語(オランダ語)が60%程度、フランス語が40%程度、ドイツ語が1%未満……ベルギー語そのものはない。
  
──カナダ:国民の約58%が英語、約22%がフランス語を第一言語としている。約98%が英語かフランス語のどちらかを話し、17.7%が両言語を話すことができる。ケベック州ではフランス語を公用語としている。

──ミャンマー:公用語はビルマ語だが、大きく8つの部族、全体で135にも及ぶ民族が存在する。そして、それぞれの部族は、それぞれの言語を有している。

 †:この「続編」は後日記す。

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