子どもを持つことの恍惚


◎「幼児期の子どもには輝くような時がある。どのような子でもそれぞれの輝き方で輝くときがある……そういうときの子を抱くときにはうちふるえるような幸福感がある……子どもはきっと大きくなって、思いも掛けない異物となって悩ませたり、走り回らせたりするだろう……しかし、今これほどの幸福感を与えてくれたのだから、将来やってくるだろう不快感をおぎなってあまりあるだろう」 

(山田太一:「子どもを持つことの恍惚」〜『いつもの雑踏いつもの場所で』)

──さすがに〝見巧者〟の山田太一である。余すことなく描写している。
 †:松竹で木下惠介の助監督をした後、フリーとなり、テレビドラマの脚本に進出。その後小説家としても地位も確立し、映画や舞台も手掛けた。倉本聡、向田邦子と「シナリオライター御三家」と呼ばれた。私としては『想い出づくり』『ふぞろいの林檎たち』が印象的。


◎「子どもを持つのと同じような経験はほかにない。友だちも恋人も代りにならない。ほかの人間に対して完全な責任を持つという経験をしたければ、そして、この上なく深い愛のきずなをいかに築くかを知りたければ、ぜひ子どもを持つべきだ。
 (ミッチ・アルボム:『モリー先生との火曜日』)
──学生時代とても目を掛けてくれたモリー先生がALS「筋萎縮性側索硬化症」で、この先そう長くはないことを知り、取り敢えず先生を見舞うが、それから14週続いて火曜日に先生からの人生の授業を受けることとなった。これを出版しようとアルボムが思ったのは、出版社からの前渡金を先生の入院費に充当したいと思ったから。

†:世界41ヵ国に翻訳され、1,400万冊以上売り上げたベストセラー。

◎「子どもの親孝行は3歳までに終わっている」
(不詳) 

──友人がぼそり!と言った言葉。3歳までの子どもってとんでもなくひたすらに可愛い。つまり、子どもは3歳までで、親に対しての一生分の親孝行は終了しているということ。

(完)





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