世界一痛い植物

オーストラリアは、他の地域と全く異なる動植物が多く、大変興味深い大陸である。とはいっても訪ねたのはシドニーだけ。そこの「タロンガ動物園」で「カモノハシ」「ワラビ」「カンガルー」「コアラ」などと、インドネシアの「コモドドラゴン」を観たくらいのものだけど。

 観たことはないが、この大陸の北東部の熱帯雨林に「ギンピギンピ」という植物がいるそうだ。この果実を食する事もできるらしいが、問題は葉とか茎である。そこには細かなガラス繊維のような棘があり、人や動物の肌を刺して留まる。そしてさらに〝神経毒〟を送り込んでくる。 しかし、それほど防御していても、数種類の小型有袋類、虫、鳥には効果がなく葉を食べられてしまうという。

 だが、人間には滅法効果的である。
──ある人物の場合。この葉で顔と胴をやられた。3日ほどは耐えられないほどの痛みで、動くことも眠ることも出来なかった。そして酷い痛みと苦痛の時期が2年間も続き、8年経った後も冷たいシャワーを浴びたときには、痛むという。

 ──森の中で防護服を着て「ギンピ・ギンピ」の研究を行っていた研究者は酷いアレルギー症状を起こし、結局は入院治療になった。触ってさえいないのに。

 ──森の中で野糞をして,あろうことか「ギンピギンピ」の葉をトイレットペーパー代わりにした人がいた。阿鼻叫喚の地獄である。際限のない激烈な痛さから逃れるために、自ら命を絶ったという。

(完)



 




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