(写真①フリーウエイ405②デズニー・コンサート・ホール③ザ・ブロード④キース・ヘリング)
【ショート・エッセイ】
今回4年ぶりにLAやサンタモニカに出向いてみて、色んな変化に少なからず驚いた。
まずは、トラフィックが相当の渋滞になっていたこと。以前はスイスイとフリーに走っていた405や10などが、かつての東京の首都高の渋滞を彷彿させるほどとんでもなく混んでいる。
話によると、この地域は景気がいいらしく、それに伴い人口の流入が激しく、不動産も急激にアップしている。人々は地価、家賃の安い近郊に家を持つ。東京なら満員電車という現象になるが、公共交通機関がないここではハイウエイが渋滞ということになる。朝の6時台に出かけないと会社には辿り着けない。夕方も渋滞は変わらないので、“ハッピィ・イヴニング”とか称して、夕飯そして酒を一杯やってから時間差で家路に着く人も増えているとか。何やら、日本のリーマンっぽい。
『メトロ』(地下鉄ではなくメトロポリタン」の「メトロ」という意味)という名の中距離バスを始めたが、これらの大渋滞には焼け石に水程度でしかない。
かつてLA郊外の「トーランス」と言えば日本の車メーカーのメッカであったし、それに伴って日系企業が多くここに集まっていた。だが、「日産」はテネシー州へ、「ホンダ」はオハイオ州へ。そして「トヨタ」もテキサス州へ行ってしまった。
付近を走ったが、錆びれた(“ラスティング・カウンティ”)感が否めない。
日々変容して行く大都会でたまたま目にした建物……。
ダウンタウンの「デズニー・コンサート・ホール」(2013)。そして「ザ・ブロード」(2015)という美術館。
後者のThe Broadって「ブロード夫妻」もしくは「ブロード家」と解釈すべきなのかな?
不動産ビジネスで巨万の富を築いた夫妻が現代アートに目覚め、2000点余のコレクションを一堂に収められるミュージアムを建立したというオハナシ。今現在そして将来に渡っての運営費も「基金」のなかから支払われるようにしていると思うのだが、気が遠くなるほどのオカネ。
この国の“よき金持ち”は自分の名を冠した美術館を建立する(石油王ゲティの「ポール・ゲティ・ミュージアム」が嚆矢かな?)か大学へ自分の名を冠したホールを贈呈する(つまり、安田財閥の東大への「安田講堂」のプレゼントのようなもの)ことが美しいマナーらしい。
まあ、それはそれとして……あのアンディ・ウォホールやキース・ヘリングそしてリヒテンシュタインたちが大家・巨匠としてこのミュージアムに展示されているのは“そこはかなくおもしけれ”で新鮮ではあった。
大きな国の大きな街への「虫瞰図」のような点描です。
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