【wording】
子どもたちの世界は、いつも生き生きとして新鮮で美しく、驚きと感激にみちあふれています。残念なことに、わたしたちの多くは大人になる前に、澄み切った洞察力や、美しいもの、畏怖すべきものへの直感力をにぶらせ、あるときはまったく失ってしまいます。
もしもわたしが、すべての子どもの成長を見守る善良な妖精に話しかける力をもっているとしたら、世界中の子どもに、生涯消えることのない「センス・オブ・ワンダー=神秘さや不思議さに目をみはる感性」を授けてほしいとたのむでしょう。
この感性は、やがて大人になるとやってくる倦怠と幻滅、わたしたちが自然という力の源泉から遠ざかること、つまらない人工的なものに夢中になることなどに対する、かわらぬ解毒剤になるのです。
妖精の力に頼らないで、生まれつきそなわっている子どもの「センス・オブ・ワンダー」をいつも新鮮にたもちつづけるためには、わたしたちが住んでいる世界のよろこび、感激、神秘などを子どもと一緒に再発見し、感動を分かち合ってくれる大人が、すくなくともひとり、そばにいる必要があります。
(レイチェル・カーソン:『センス・オブ・ワンダー)
†名著『沈黙の春』を書いたレイチェルが、1956年「ウーマンズ・ホーム・コンパニオン」という雑誌に「あなたの子どもに驚異の目をみはらせよう」と題して掲載された。彼女はこれをふくらませて出版しようと考えていたが、1963年56才癌で生涯を閉じた。友人たちは手分けして原稿をまとめ、翌年には出版した。
日本では96年に出版され、手元にあるものはその59刷のもの。
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