(サルバドール・ダリと「ガラ夫人」)
【wording】
ローマ神話のニンフ「エジェリ」(Égérie)が、王政ローマにおける第2代の王王ヌマ・ポンピリウス に助言を与えたとされることから、(芸術家・文学者・政治家などに)強い影響力を持つ、女性助言者をこう呼ぶ。英語圏では「ミューズ」になるのだろう。
「エジェリ」と言えば直ちにこの女性の名前が挙がるのだろう。
「ガラ夫人」
彼女は故郷ロシアからフランスの詩人「ポール・エリュアール」と結婚するためにやって来た。しかし、すぐに画家「マックス・エルンスト」を恋人にし、やがて奇才サルバドール・ダリと一緒になった。
ガラは芸術家にとって、常に創造力をかきたてる「ミューズ」だった。中でもダリの才能は、ガラに保護され、叱咤されることで華麗に開花したといわれる。
ガラ自身は書く才能も、描く才能もなかった。彼女が生涯に一貫して続けた行動は、「芸術家の熱狂に加わり、不安を理解し、作品を賞賛すること」だった。つまり、彼女は主役を興奮させ、仕事へと駆り立てる凄腕のマネージャーだったのだ。
恋心を寄せてきたスペイン人画家サルバドール・ダリの真摯な熱情に心を打たれ、それを感じたダリは10歳年上の「エリュアール夫人」を思わず抱きしめた。「私たちはもう離れてはいけないのよ」と彼女は息子に語る口調で言い、「これからどうしよう」と聞く気弱なダリに「私を殺して」と。
(……凄いねェ。イチコロだよね。)
「ガラは僕の魔法のランプ」とダリは言っている。
ガラがいないとダリは一枚の絵も描けなかったという。
最近ではこの「エジェリ」も〝芸術への助言者〟から意味合いは拡張して、「女ボス」「女性の黒幕」「イメージキャラクター」「キャンペーンガール」にも使われるようだ。
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