Hello World Again!

今現在アタランタ近郊のオーガスタ・ナショナルGCで「マスターズ」をやっている。明日が4日目。(上記はNo.12ショートホール)

 

ここへ1995年に観戦しに行った。足を踏み入れて分かることがある。ここはゴルファーが自分の芸をお披露目する〝舞台〟なんだなって実感できる。ゴルファーに生まれたら、死ぬまでに一度はプレーしたいと憧がれる対象だなって。
一年のほとんどをこの4日間のためにだけ使うゴルフコースが他にあるか?
加えて、様々な工夫。例えば、コースに色とりどりの花……アゼリアとかマグノリアが咲き乱れているが、これらの足元には温冷水パイプが埋め込まれていて、それで4日目に満開で咲くように操作している……などなど。

その時はちょうど鳴り物入りのアマチュア・ゴルファーのタイガー・ウッズが初出場だった。19歳くらいだったと思う。確かに黒人の風貌なのだが、体つきはほっそりとしてアジア人の血を感じさせた。(今では鍛え上げて。そんな面影はないのだが……)
ただ、その当時から飛距離はものすごく、ドライバーだと、一緒に回っていたオーストラリアの〝シャーク〟グレッグ・ノーマンの止まった球を越して、その先30ヤードは行く。観客は皆目を剥いてそして歓声をあげていた。
翌1996年大学を中退してプロ入り、そして伝説的ナイキのコマーシャルである。

https://www.youtube.com/watch?time_continue=41&v=qSRzdXshLow

『この国アメリカには肌の色が理由で
私がプレイすることを許されていないコースがまだあります。
 Hello World!
わたしにはまだプレイする資格はないのですか?
私の準備は整いました。次はあなたが準備する番です。』

こういうデリケートで論争の起きそうなことを言っておいて、翌年の1996年の「マスターズ」に何事もないように優勝。
まだ21歳とちょっと。すでにその歳で「伝説」となる。

……それが不倫、交通事故、離婚……と不始末が続き、
「なーんだ、ただの〝女好きの寅さん〟か」に成り下がった。
世界ランキング1位を続けていた男が、1200位まで急落下するという惨状。

昨年夏、LAのリビエラCCでプレイしたあと、メンバー氏との雑談で、

「アメリカではすっかりゴルフ人気が落ち込んでね。特に若い人にね」
「へ?なぜですか?」
「用具が高い。時間が取られるなどですが……」
「ですが?」
「一番の原因はタイガーが弱いからですよ。
 ただのダメなおじさんになっちゃったから……」

逆に凄いって思った。一つの産業を一人の男のパフォーマンスが握っている!


その男が今「マスターズ」で好位置につけ、文字通り虎視眈々とグリーンジャケットを狙っている。
タイガー・ミラクルが炸裂したら、どういう熱狂が起きるか予測できない。
Hello World Again!

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