【wording】
「あるべき姿のために戦わないで、人生に折り合いをつけて生きていた人は死ぬ時、『なぜ死ななければならないんだ!』と言うのではなく 、『こんな人生、何のために生きてきたんだ!』と言って死んでいく」
この凄みを帯びて光るハンティング・ナイフのような言葉の出典を散々探したが、杳として行方知れず。でも遂に、ミュージカル『ラマンチャの男』でのセルバンテスのセリフを小気味好くまとめて結晶化したものなのではないか?というところまでは辿り着いた。(間違っているかも知れないが。)
『ラ・マンチャの男』は、ミゲル・デ・セルバンテスの小説『ドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャ』をもとにしたミュージカル作品。セルバンテスを主人公にしている。
脚本はデイル・ワッサーマン。1965年にブロードウェイで初演され、ニューヨーク演劇批評家賞などを受賞し、5年6か月のロングラン公演を記録した。その後も、世界各地で公演されている。
日本での松本白鸚主演のものは1969年初演で、やはり50年を数えている。
コーネル大学教授(「心理学」)トム・ギロヴィッチはこの「あるべき姿」というのを「理想の自己」と言い換えて、その実現に向けて精進するかしないかで人生の価値は大きく異なってくると脅かす。
「理想の自己」なるものを生まれて此の方持ったことがない私は、冷たい風が吹き荒ぶ野に佇むだけ……。
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