サブローとデレッキ

(写真:「デレッキ」と「十能」)

【こんな話】

春先の頃、栃木から遠縁のおばさんが遊びに来て、5、6人で食事会。誰かが彼女の専門分野の農業のことで、「畝を何で作るの?」みたいな質問をした。
そのおばさんが言下に、
「サブローだ」と。
「……」
「はい?」

みんなあっけにとられてシーンとなる。
「……」

「そうか!シャベルのことだね?」
「そうだ」とおばさんも一安心の模様。

「シャベル」とも「スコップ」とも言うが、出自が違うらしい。
前者は英語でshovel。後者はオランダ語でschop。


ご幼少のみぎり、北海道の冬は赤々と燃える「石炭ストーブ」であった。それを世話するのは「十能」と「デレッキ」(dreg)。
これもオランダ語で、英語で熊手を「レイキ(rake)」というが、それの関連語らしい。日本が永らく鎖国していた期間も、細々とオランダとだけは貿易をしていた名残のように、オランダ語からの〝帰化日本語〟が予想よりも遥かに多い。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%80%E8%AA%9E%E3%81%8B%E3%82%89%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%AA%9E%E3%81%B8%E3%81%AE%E5%80%9F%E7%94%A8

だが、最近の北海道は戸外に石油タンクを設置したセントラルヒーティングが通常になっている。「石炭ストーブ」なんか絶滅危惧種になっているんだろうし、「デレッキ」も死語になっているんだろう。

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