【ショート・エッセイ】
なぜなのか分からないが、私は「郷土愛」とか「母校愛」というものがすごく希薄に生まれついているらしい。……というのは他の人のその二つのことで熱を帯びるのを見て、「バカなの?」と呆れ返ることが多いからだが。でも、つまりは、自分が例外的らしいのだ。
「郷土」は置いておいて、「母校」。
卒業してから10年振りくらいに、留学に必要な在学証明とか成績書を貰いに仕方なしに行った。さらに、それから30年ぐらい経って野暮用で学部長を訪ねた。
卒業後トータルで2回だ。多いのか少ないのかも分からない。
その学部長が暇乞いのときに、「そんな久し振りですか……。折角ですから、母校のキャンパスを見ていかれては?」と。だが、40年も経てば木々も高くなり、建物も新しくなっている。全くの異邦人の如くだ。でも、建物と建物の間にあるベンチの位置だけは変わらずにある。ベンチ自体は新しくなってはいても……。この木陰でよくだべっていたような気がする。
座ってみた。確かにここいらに私の「青春」というものがあったんだよね。微かな甘みを伴う痛みと酸味のある切なさ……のようなものが鼻にツン!と抜けて来た。胸の中では、いままで演奏したことのないギターのコードを強めにピックで弾かれた感じもした。
横に座っている20歳くらいの自分に向かって、「こら、ワカゾー!」とか話しかけてみようかしらん。何かアドバイスをしてやろうか?何を助言するんだ?そんなものあるのか?
手持ちのものって若者には相応しくないロクなものばかり。
ー「人生には正解がない」ということは「人生には間違いしかない」ということだ。
(まとめサイト)
ー人生は恐ろしいこととみじめなことの二つから成っている。(ウディ・アレン)
ー人生は恐ろしい冗談の連続だ。(島地勝彦)
……ということで、まあ、好きにやれよ。出たとこ勝負でいいさ。
うん?ちょっと待て、これがあった。
ー40 歳を過ぎたら、本当に怖いと思うもの以外はやる価値がない。
(アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督)
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