小学校に入学したときその女の子と同じ組であったという。私がその子を「可愛い、可愛い」と言って抱き締めて離さなかったらしい。その事で担任の先生からお袋が厳重注意を受けたことを随分後になって聞かされた。
その子はごく近所の女の子だった。でもその頃は男の子と女の子が混じって遊ぶことはなかったのだと思う。顔見知りだが会話をしたことは一度もなかった。
小柄な子で利発そうな眼がいつもくるくる動いていた。運動神経も優れていて、運動会でも花形だった。その子とは中学、高校と同じだったが、とても〝若見え〟で、中学時代には彼女一人が小学生の趣で、高校時代は彼女だけが中学生の佇まいであった。
「北モンゴロイド」を特徴づけるのは「幼態成熟(幼体成熟)」=「ネオテニィー」である。そもそもが「ホモサピーエンス」というのは霊長類のなかでの「ネオテニィー」種であるという。比較的大きな脳、脊椎上の前方に展開した頭蓋、体毛の消失というのはチンパンジーの胎児段階で見られるもの。胎児のみならず、幼児のチンパンジーの風貌はとても人間に近い。(だが、成獣は顔も黒くなり、“獣”になってしまう。)
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