ノマド・ワーキング


遊牧民を意味する「ノマド」から日本語の「ノマド・ワーキング」という言葉が発生してかれこれ10年になるのかな。
今ではその当時のノートパソコンやスマートフォンなどのデジタル機器の機能が格段に高くなっており、同時に、カフェなどの店舗でWi-Fi対応が当たり前になってしまっている。だから、デジタル〝遊牧民〟は今やごく当たり前の風景になっている。

その日も、そのカフェでは90%以上の人々がデジタル機器を操作していた。話し声はほとんど聞こえない。そこへ、一人のおじさんが入店してきて、混み具合を確認して〝こりゃだめだ〟と、入り口に佇んでいるもう一人の連れに大声で「みんな勉強していて、満員だよ〜!」と伝えた。私は思わず「勉強」という言葉に笑ったが、他は誰も笑わない。(汗)


2015年の調査ではカフェで「ノマド」をやっているのが10%以下で、そういう「ワーキング」をやっていることが不愉快と思う人々が32〜33%という状況であった」とデータが教えてくれている。(デジタル機器に触っていない人々の3分の1が〝面白くない〟と思っていたってこと。……まあ、この人たちが抱いている物って、いわゆる「ルサンチマン」なんだと思うが。)

今では随分と状況は様変わりしてしまっている。このカフェの状況をみても取り立てて「ノマド」という言葉を使う必要もない。ほとんど全員がそうなんだから。(「ノマド・ワーキング」自体がもう死語かも……)
そのおじさんの言葉にはほとんど「ルサンチマン」を含んでないと感じた。もちろん、カフェで情報機器に向かっている人が全員「勉強」しているわけではないのだが……。多分それらの事もマルっと纏めて、そう言ってみたかったのだろう。 

 


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