二十四時間抱き合っていたい2018.11.29 12:23「ほんとうは傍にいたい。二十四時間抱き合っていたい。でもそれが出来なくても、黙ってその人を感じている。その人が世界の中にいるというだけで、存在が充たされ、磁石の針がぴたっと一つの方向を指すように、心はその人に向かっている。」「一人の女がこれだけ心の底から尊敬し、慕い、全存在を賭け...
「aijou.mov」は壊れた2018.11.28 11:36【wording】━━圧縮と解凍を繰り返されて「aijou.mov」は壊れた (笹井宏之『てんとろり』ー2011) 作者は、重い病気を抱えながら携帯サイトに短歌を発信し、歌集を出版してその才能がついに認められはじめたというところで26歳で夭折してしまった歌人。ときおりコンピュー...
ませたガキ2018.11.26 12:54━━疑わずトラック駆けてくる一人すでにテープのないゴールまで (俵万智;『かぜのてのひら』) 又吉直樹は俵万智の歌集『かぜのてのひら』のなかのこの歌の「無垢な情景」が鮮烈でなかなか次の歌に進めなかったという。 冒頭の「疑わず」という断定と相まって、健気な走者がまぶしく...
美瑛。しばれる。2018.11.25 11:32友人が車で札幌から富良野へ連れて行ってくれた。そう、ラベンダーの咲く頃、「富田ファーム」へ。ラベンダー畑を見ながらラベンダー色のソフトクリームを食べた。その足で美瑛へ向かった。「四季彩の丘」……色とりどりの花のカーペットがひろびろと続く。それが今はゆっくりと眠りに就いている。TS...
身の上相談もしくは身の下相談2018.11.23 13:13新聞・雑誌などの「身の上相談」や「人生相談」の欄って不滅なのはどうしてなのか?結構なナゾ。特に女性誌にはこの「身の上相談」なのか「身の下相談」なのかわからん内容だが、定番のように必ずある。その多くはライターが書いているんだろうと思っても、濡れ衣にはならんと思う。つまり、世にいう“...
時速270キロの…2018.11.20 12:20【wording】「私の排泄物が私より遠くへ旅をする新幹線」(奥村知世) 穂村弘が誰かとの対談のなかで紹介していた短歌なのだが、いろいろ組み合わさった不思議な衝撃があった。この奥村知世っていう女性が何歳くらいの人なのか知らないが、まだ若い人だとは思う。いわゆる「感動」とか「喜怒...
野良犬と変なおじさん2018.11.17 14:01【こんな話】「最近野良犬と変なおじさんが減った」という話がある。……っていうか、野良犬をすっかり見かけなくなった。犬に対しては「狂犬病予防法」を根拠として、「自治体へ登録が必要」「放し飼いの罰則有」「野良犬は自治体が捕獲と保護」(かつては殺処分していた……100万頭レベルらしい)...
自分の真価を知ってしまったら…2018.11.16 10:59(与謝野鉄幹)【wording】「……自分さえ黙っていれば、この世では自分のほうがいいことになるけど、自分はその真価を知ってしまった苦悩みたいなのとか、そういうことって表現の世界ではあると思う。与謝野晶子が自分以上の潜在能力を持っていることに気づいてしまった時の与謝野鉄幹とか。…...
カツオ、カツオ、カツオ2018.11.14 12:27【ショート・エッセイ】1960年のオリンピックのローマ大会の水泳400メートルリレーで富田一雄という選手がいた。 彼が泳ぐと「カツオ!カツオ!カツオ!」と観客からの大声援・大合唱が凄い。というのは、イタリア語でcazzo(カッツオ)って“おちんちん”のことを指す。だから、「おちん...
巨大な蛍2018.11.12 10:52歌人の穂村弘が「WIRE」のなかでぼそぼそ言っている。「電灯ができただけで、たとえばホタルの光を歌に詠む力が失われていくわけです。明かりというものが太陽と月と星と炎しかなかった時代のホタルの短歌は鮮烈です。でもわれわれはもっとすごい人工の明かりをたくさん知っているから、ホタルがい...
ギブミー・チョコレート2018.11.11 13:29【こんな話】小学校1年生とか2年生くらいだったと思う。小学校から出て遠くない橋のたもとに「占領軍」(「進駐軍」という妙な名前だが)のアメリカのGI 2人がジープで来ていた。東京あたりではよくあった風景なのかも知れないが、北海道の片田舎では、GIがジープで走るのをほとんど観ていない...
どうぞよろしくお願いします2018.11.10 13:25(写真:「コーラル・ビーンズ」)「初めて短歌を作る人へのアドバイス 」というのがあって、難しく考えず、 まず五七五の川柳・俳句を作り、そのあとに、「どうぞよろしくお願いします」(七七)をつければ、短歌になるといっている。そこで、金子兜太と黛まどかの俳句を借りて来て、その腰の座りを...